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【ランナーの怪我】アキレス腱痛の改善例

 

こんにちは、高岡です。

子どもに親父の尊厳を示すべく、縄跳びの二重跳びを70回連続でやったら酸欠で死にそうになり、尊厳どころの話ではありませんでしたw

100回跳んでも涼しい顔でいられるように励みますw

さて今日は、アキレス腱の痛みを抱えるランナーにとって、ちょっと「耳を疑うような」改善例をご紹介していきます。

「耳を疑うような」と、上げなくてもいいハードルをわざわざ上げてるわけですがw、もちろんそこには、わざわざそういう言い回しをする理由があるわけで。

というのも。

アキレス腱を痛めている当のご本人も、そして、そんなアキレス腱痛を抱えたランナーを迎えるセラピストも、どうしても「ある罠」に滑らかにハマってしまいがちだからです。

その「ある罠」とは・・・???

それは、「患部に目を奪われすぎる」という罠です。

つまり今回のこのブログでは、その「ある罠」にうっかり陥ってしまっているランナーやセラピストにとっては「耳を疑うような」改善例をご紹介していくわけですね。

ていうか。

そもそもこれは、僕の実体験です。

つまり、アキレス腱を痛めて近視眼的になっているランナーというのも過去の僕ですし、アキレス腱痛を抱えたランナーを迎えて近視眼的に治療していたのも、過去の僕の話です。

僕自身がそうだったから、ということもあり、どうしても患部に目を奪われてしまうランナーのみなさんの気持ちも、セラピストのみなさんの気持ちも痛いほどわかります。

1日も早く、そのアキレス腱の痛みを改善したい。

その想いが強ければ強いほど、どうしてもこの罠に陥りがちなんです。

だから、もし今あなたがアキレス腱を痛めて悩んでいるランナーであったり、アキレス腱を痛めて悩んでいるランナーの治療を任されているセラピストであれば、ぜひとも「ひと呼吸」おいて、落ち着いて、このブログを読み進めてください。

必ず、何かのヒントをお伝えできるはずです。

というわけで。

前置きが長くなりましたが、それでは「耳を疑うような」アキレス腱周囲の痛みの改善例をお話していきます。

もうずいぶん前に診させていただいた方の例です。

Aさん・45歳・女性・フルマラソンのベスト:3時間32分・右アキレス腱の痛み

こんなランナーのお話をしていきましょう。

この方は、右アキレス腱の痛みが出始めてから2ヶ月。

走り始めに痛みがあって、アキレス腱が温まってくると少し痛みが改善するものの、ハードワークすると、走ってる最中にも痛みが憎悪。

そして、ハードワークした次の日の朝は、起きてすぐの一歩がめちゃくちゃ痛い。

ただ、練習量を調整すれば痛みが和らぐので、騙し騙し走っている。

そんな感じです。もしかしたら、あなたもそんな症状かもしれませんね?

患部を診ると、少々の炎症所見がみられる。前日にインターバルトレーニングをやったからかも?ということ。

圧痛は右アキレス腱の内側。アキレス腱をストレッチすると痛い。つま先立ちも痛い。

なるほど。

圧痛とストレッチ痛は、炎症所見があるうちはどうしようもなかったりするんですけど、どうも、「つま先立ち」が匂う・・・

この方、つま先立ちをすると、体がすごくグラグラするんです。両足でのつま先立ち、ですよ。

もちろん、つま先立ちの状態というのは足関節が一番不安定な状態ではあるんですけど、どうにもその「不安定感」に違和感を覚えまして。

そこで。

その方に「右手を壁において、ブレないようにしながらつま先立ちしてもらっていいですか?」とお願いしました。

すると・・・

「あれ?痛みが減ったわ!」と。

まだ炎症がある状態なので、完全に痛みがなくなったわけではありませんけど、確かに痛みは改善しました。

なぜ?

なぜ右手を壁においてつま先立ちすると、痛みが改善したんでしょうか?

もちろん、その壁に何か仕込みをしていたわけではありませんよw

そうではなく、何か別の要素で、彼女のアキレス腱の痛みが軽減したんです。

それは・・・

壁に手を置くことで「ブレ」を抑えたから。そう考えています。

立ったそれだけで?

もしかしたら、あなたは耳を疑ったかもしれません。

しかしこれは、紛れもない事実です。

つい先日も、ゼロベースランニングラボラトリーのメンバーさんにもアキレス腱の痛みを抱えてる方がいらっしゃったので、体のブレを抑えるコツをお話ししたところ、つま先立ちで出ていたアキレス腱の痛みが軽減しました。

体のブレ。

これは、あなたが考えているよりも、アキレス腱に負担をかけている可能性があります。

アキレス腱は、腓腹筋とヒラメ筋が合流して構成する腱です。

 

腓腹筋やヒラメ筋、そしてその延長線上のアキレス腱の筋腱複合体は、ランニングという前進運動において、重要な役割を担っています。

その役割の中で特に重要なのは、ストレッチショートニングサイクル。

つまり「バネ」ですね。バネとして、この筋腱複合体は僕たちの前進運動に大きく寄与してます。

そしてこのバネは、長軸上の収縮によってもたらされます。

つまり、筋繊維の走行に添った、シンプルな伸び縮みでこそ、威力を発揮できると考えられます。

ただ・・・

片脚立脚時のブレがあると、ここに「捻れ」という「雑音」が加わります。

この「雑音」が問題なのです。

筋繊維の走行に添った収縮に「集中」できれば、このふくらはぎの筋腱複合体は大きな前進力を生むと考えられますけど、要らぬ「雑音」のせいで、そのパフォーマンスを低下させられているばかりか、「余計な仕事」まで増やしてしまう。

つまり、「ブレを補正する」という「余計な仕事」です。

この「余計な仕事」のせいで、アキレス腱に負担がかかっている。

それが、「壁に手を置く」ことで解消されるんでしょうね。

 

とはいえ。

ずっと壁に手を置きながら走るわけにもいきませんから、片脚立脚時のブレが、どういう身体操作の癖で起きているのか?を理解する必要があるし、そしてそれを改善していく必要があります。

そしてもちろんそれと同時並行で、患部に治療もやっていきます。僕は鍼灸師なので、鍼を用いることが多いですけど。

片脚立脚時のブレが解消されてくれば患部の負担も軽減されてきますから、そこに患部の治療も併せて進めていくことで、症状は改善に向かっていきます。

ただ、しつこいようですけど・・・

結局、「その患部がなぜ負担を一手に引き受けてしまってるのか」を考えなければ、症状はなかなか改善しません。

つまり「負担のシェア」ができていないわけですね。

「なぜ負担のシェアができていないのか?」には、色んな原因があるはずです。

その原因を探し出すのが僕たちセラピストの役割というか、力量だと受け留め、日々精進しております。

同じ場所が痛くても、みんなそれぞれに原因は違う。

僕たちは「怪我」に向き合うのではなく「あなた」に向き合う必要があります。

それが、あなたの怪我を改善するための「近道」だと考えてますから。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。